総長、私のリボンほどいて。🎀


「…星野(ほしの)、シャンプー変えた?」
 昼休み。屋上で月沢(つきさわ)くんが隣に座る私のウィッグに触れながら尋ねて来た。

 月沢(つきさわ)くんは扉の横で右膝を立てたまま座っている。

 直接髪に触れられた訳じゃないのに、心臓がドキドキで壊れそう。

「え、な、なんで…」

「昨日と香りが違う」

「あ、うん…」
 私は複雑な顔をする。

「…なんかあった?」

氷雅(ひょうが)お兄ちゃんにも同じ事聞かれた」
「シャンプー変えたの失敗だった」
「バレるの時間の問題かも……」

「…氷雅(ひょうが)お兄ちゃんってどんな顔してんの?」

「え、あ…写メあったかな」
氷雅(ひょうが)お兄ちゃん、写メ撮るの嫌いみたいで」
「あんまり撮りたがらなくて…」
「ちょっと待ってね」

 私はスカートのポケットからスマホを取り出して写真のアプリをタップする。

「あ、あった」

 月沢(つきさわ)くんが隣から私のスマホを見る。
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