総長、私のリボンほどいて。🎀

 え、電話が鳴って……。
 私じゃない。

 月沢(つきさわ)くんは顔を上げると、ズボンからスマホを取り出し、右耳にスマホを当てる。

怜王(れお)、息してる?』

(のぞむ)先輩」

『彼女から返事はもらえた?』

「はい、会ってもいいって」

『そうか。ならもうすぐ例の場所通るから』
『ちゃんと連れてくるんだよ』

「はい」
 月沢(つきさわ)くんはそう言うと、電話を切った。

 (のぞむ)先輩、穏やかな声してたな…。

 私はそう思いながらリボンをきゅっと結び直す。

月沢(つきさわ)くん、リボン大丈夫かな?」

「…あぁ」

 私達は、はしごの前に置いた鞄をそれぞれ右肩にかける。

「…星野(ほしの)、時間がない」
「…行こう」

「うん」
< 152 / 480 >

この作品をシェア

pagetop