総長、私のリボンほどいて。🎀

 私は気まずいまま中に入る。

 ぱたんっ…。
 扉が閉まった。

「あ、氷雅(ひょうが)お兄ちゃん、遅くなってごめんなさ…」

 氷雅(ひょうが)お兄ちゃんは右手で自分の顔を隠す。
「ありす、無事で良かった」

 え、氷雅(ひょうが)お兄ちゃん泣いて…。

氷雅(ひょうが)お兄ちゃん…」
「心配かけて、避けてごめんなさい」
「ふ、不審者の男の子達が氷雅(ひょうが)お兄ちゃんと同じ制服着てて……」

 え、優しく抱き締められ…。

 あ…いつものほんのりスパイシーなシトラスの香り…。
 安心する……。

「ありす、俺がまだ怖いか?」

「ううん、もう大丈夫」

「そうかよ」
「…お前が怖がったり、保健室に行くってことはよっぽどだろ」
「電話の後、何があった?」

「…書庫蘭(しょこら)高校の男の子達が教室に来て」
「カーテンに隠れたけど見つかっちゃって……」

 氷雅(ひょうが)お兄ちゃんは頭をぽんっと優しく叩く。
「ありす、ゆっくりでいい」
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