総長、私のリボンほどいて。🎀

「…お前の金髪に惹かれたから」
「…渡してからお前の名前が暴走族の名前と同じ“ありす”だって分かって、ますますお前に興味を持った」
「…けど引くよな。怖いよな。俺が総長なんて」

「っ…」

「…それでも俺はお前と青春したかった」
「…お前の隣に一秒でも長くいたかった」
 月沢(つきさわ)くんは切なげに笑うと、部屋に向かって歩いて行く。

「待って」
「行かないで、月沢(つきさわ)くん…!」
 私は仕切り板の穴から叫ぶ。

 ガラッ、ピシャンッ。
 月沢(つきさわ)くんは自分の部屋の中に入って行った。

 私はその場で崩れ落ちる。

 総長って小説の中だけかと思ってた。
 実際にいたなんて。
 しかもそれが月沢(つきさわ)くんだったなんて。

 私は両手で顔を隠す。

 二十六夜の月はもう見えない。

 大粒の涙でゆるTシャツが濡れていく。

 もう私達終わりなの?
 このまま別れるしかないの?

 ねぇ、月沢(つきさわ)くん、
 これからどうしていいか分からないよ――――。
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