総長、私のリボンほどいて。🎀

 氷雅(ひょうが)は両目を見開く。

黒有栖(くろありす)を抜けるだ?」
「親父に何吹き込まれやがった!?」

「…親父、あと一年の命らしい」
「…おふくろと出会った東京で俺と暮らしたいって」
「…離婚された転勤族の放置主義野郎が涙流しながら言いやがって、ほんとクソだよな」

「それでてめぇは、そのクソ涙に流されて受け入れたって訳か」

「…あぁ。何言われても断ろうと思ってたくせにな」
「…100万もとりあえず受け取ったわ。手は付けてねぇけど」

「ふざけんじゃねぇ!」
 氷雅(ひょうが)は左手で怜王(れお)の胸倉をガッと掴む。

「てめぇは黒有栖(くろありす)の副総長だぞ!?」
「俺が卒業したら、てめぇが総長になるんだろうが!?」
「それ分かってて黒有栖(くろありす)もありすさえも捨てて親父を取るっていうのかよ!?」

「…普通は親父なんて取らねぇよな」
「…でも時間がねぇんだよ」
「…アレでも俺のたった1人の親父なんだ」
「…お前とありす見てたら家族もいいもんだって思えた」
「…だから最後くらい一緒にいてやりてぇんだよ」

「あー、そうかよ。だったら」

 氷雅(ひょうが)の顔が冷酷な表情に変わる。
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