Mazzo d'amore
「あの…労働基準法に引っかかるのでは…?」

「偉そうに知ったような言葉並べるんじゃないよ。心春にやらせるのはお家の手伝い!」

「ち、ちなみに今回は何を?」

前回は製図をさせられた。

模造紙を沢山置かれて

「これお願いね」

そう言ってきた母上に私は訴えた。

「お母様!流石にお家の手伝いのレベルを超えてるのでは?工業高校の生徒ならまだ出来るかもしれないけど私普通科だよ!」

「定食屋の娘が客に水を出すのと同じ。たまたまウチが建築屋だっただけや。これはお家の手伝いや。わからないなら調べたら出来る!」

しかしこの母に容赦はない。

「うぅ…ぐすっ…テレビ見たいよぅ…YouTubeごろごろしながら見たいよぅ…」

泣きながらやった。

ただ、そうは言っても対価報酬だけあって出来た時には1回100円のお風呂掃除とは比にならないぐらいの報酬を得れる。

もう製図だけは二度と勘弁だが…。

「あ、あの……今回は何を?」

私はお金が欲しいと言った事をすでに後悔していた。

すると母は私に笑顔でこう言った。

「そうねぇ、4月2日で18歳になるから夜もお手伝い出来るわね」

「え!?」

「今回お金先払いで良いから4月2日に一緒に付いてきて」

「え……拒否は?」

「で、き、な、い」

私は前払いとしてお金を受け取ってブルブル震えた。

(えええ!?こんなに!?)

高校生の私にはそのお金はお花を買うには充分過ぎるお金だった。

ただその金額を1日で貰えるとなると一体何をさせられるのか恐怖だった。
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