Mazzo d'amore
「あ、それ一日分じゃないから。24時間働いたとしてのお小遣いだから。だからその日だけじゃなく今後も何回か連れ出すからね」

「え!?」

「当たり前でしょとりあえず花買いな」

(でも、ま、いっか!)

私は割とポジティブだった。

春休みに入り私はおばあちゃんのお見舞いを理由にお花屋さんに通って通って通いまくった。

「おばあちゃんは心春ちゃんが毎日お見舞いに来てくれて嬉しいよ」

「おばあちゃん!喜んでもらえて私も嬉しい!」

「でも、お花はもういいかな…」

「………」

病室が花で溢れた。

(しゃあない、ここで打ち止めとしとくか)

これ以上花を贈ると病室が葬儀場みたいでなんか縁起悪いし、おばあちゃんに迷惑をかける訳にはいかないので私は我慢する事にした。

そして4月1日告白した。

「えっと……ごめんね。俺、結婚してるんだ」

17歳最後の出来事だった。

誰か嘘と言ってくれ。

私の恋がたった一行のセリフで終わった。

「ただいま…」

「あんたどうしたの?顔死んでるよ?」

「……フラれた」

恋をするのは年上の為どうしても既婚者の可能性が高い。

同級生や歳の近い人と恋愛しろと言われても中々身近にそんなトキメキが起きるような人が見当たらない。

コンコン

「はい…」

「入るよ」

母がリンゴジュースを持って入ってきた。

「まあ、元気出しな」

ぽんぽんと肩を叩いてきた。

母は私が落ち込むとそっとしない。

ガンガン来る。

いつまでもウジウジされるのが嫌みたいですぐに気持ちを切り替えさせてくる。

母曰く時間がもったいないとの事。

まあ確かに楽しいことに費やした方が良い気がする。

ただそれでもたまにはそっとしてくれないかなと思う時もある。

一人ハードブレイクにしんみり浸りたい夜もある。
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