Mazzo d'amore
カイピロスカ(明日への期待)
都内の裏通りにある小さなビルの中のBAR。

オーナーのママは『さしすせそ』が上手に言えない。

けれど、そんなママのお話が面白いと噂になり多くのお客様が来店していた。

お酒が飲めないママの出すお酒に酔いしれて今日も人々は笑い出す。

泣きたい時、笑いたい時、喜びを分かち合いたい時、また誰かの愛を確認したい時、みんなの集まれる場所になりますようにと願いの込められたお店。

そんなBARの名前は

Mazzo d'amore(マッツォダモーレ)

そんなBARは週末のみの営業ですので悪しからず。

カランコロン

本日もお客様がいらっしゃいました。

「いらっしゃいませ」

今日のお客様は男女のステキな夫婦。

すらっと高身長の優しそうなご主人様に、可愛らしくも美しい奥様。

「本当に営業してた」

「ね!嬉しいね」

「お好きな席へどうぞ」

カウンター席へ腰掛けた二人へおしぼりを差し出した。

「お飲み物はどういたしましょう?」

「あ、僕にちなんだのって出してもらえますか?」

ご主人は恥ずかしそうに尋ねてきた。

「私も!私も!」

奥様も意気揚々とお願いしてきた。

「かしこまりました」

私はカクテルの準備へと進んだ。

店内に心地よいBGMが流れ静かだが夫婦はワクワクした気持ちになっているようだった。
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