Mazzo d'amore
この頃の菜音君はまだ私よりも身長は低く、前ならえでも男子の1番前で隣のクラスの私と同じ1番前で並ぶ事もあった。

遊歩道を歩いて行くと大きな段ボールが落ちていた。

きっと誰かが河川敷でソリ遊びをして忘れて帰ったのだと思った。

すると菜音君の顔がニヤリと微笑み。

「なあ!ちょっと遊んで行こうぜ!」

そう言って段ボールを拾って私を誘ってきた。

河川敷の上から

「ひゃっほーい」

順番に滑った。

「見てて!見てて!」

「危ないよっ!」

私が注意するも菜音君はスノボーを滑るかのように段ボールの上に立ち滑りだした。

ドテッ

そしてコケた。

「あははははは!超楽しい!」

「大丈夫?」

「大丈夫!大丈夫!」

「はい!次どうぞ!」

「あ、私はもう良いかな」

「そうなの?じゃあ、俺まだやっていい?」

「うん」

ふと、足元を見るとシロツメクサを見つけた。

(あ、いっぱいある)

私は夢中で摘んだ

「何してるの?」

私が摘んだシロツメクサを編み込んでると菜音くんに聞かれた。

「冠作ってるの」

「へぇ…どうやってやるの?」

「やってみる?」

どうやら私が段ボール滑りをやめたら1人で滑るのが楽しくなかったみたいだった。

首をコキコキ動かしてから菜音君は教えてと言った。

「はじめに2本を垂直にさせて茎を上にして…そう。その次は…交差部分をしっかり押さえて…上の茎をくるっと下の茎に巻き付けて…うん、上手」

「ほんと?」

「3本目も同じように…そう、え!ほんとに器用だね」

「ありがとう、これ楽しい」

菜音君はどんどんと長く作って行った。

「最後はどうしたら良いの?」

「最後は、最初の花と茎を……」

「出来た!」

菜音君は両手で冠を空に掲げてニコニコして

「はい!」

「え?…ありがとう」

私の頭に乗せてきた。

「あ、じゃあ私のあげる」

私はそう言ってブレスレットサイズに作ったのを菜音君の腕に通した。

「シャキーン!どう?」

「似合う似合う」

「じゃあ行こっか!」

「うん!」

再び遊歩道に戻りケーキ屋さんを目指した。

ケーキ屋に着きおばちゃんから預かってるお金でキャラクターのデザインされてるホールケーキを買った。

「ロウソクは何本ですか?」

「えっと……要らないです」

今日が初めて誕生日ケーキを食べようとなった日。

私の誕生日祝いなら10本だが菜音君の祝いなら9本。

私達はどっちにしたらいいのか正しい答えがわからなかった。
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