Mazzo d'amore
オリンピック(待ち焦がれた再会)
高校3年生4月下旬。

今日はみゆのお兄さんの稜くんが通ってる格闘技ジムに行ってみる事となった。

「こんにちは」

「おお、みゆちゃん!元気してた?」

みゆも今まで何度かジムに行ってたみたいでインストラクターの先生達が喜んでいた。

「あの今日、友達連れて来たんですけど見学しても良いですか?」

「こんにちは…」

「こんにちは!良いよ、見学だけじゃなくて良かったら体験していきなよ」

「え?良いんですか?」

「上島兄弟のお友達だから特別ね」

私はやったーと喜んだ。

「着替えとかある?」

「一応、ジャージ持ってきてます」

「じゃあ、みゆちゃん案内してあげてね、よろしくね」

「はーい」

私はみゆに連れてってもらい更衣室で着替えを済ませて見学させてもらった。

大きなジムでサンドバッグを叩いたり、スパーリングしてたり、ランニングマシンを走ってる人など沢山の人がいた。

「すごっ」

「ね、迫力あるよね」

私はきょろきょろと稜くんを探した。

「あ、いたいた」

「え?どこどこどこどこどこどこ?」

「食いつきすぎっ!ほら…あそこ」

そう言ってみゆの指差す先にはグローブを付けて汗をかきながらミットを打ってる姿があった。

「はい、ワンツー!」

そのトレーナーの声にビシビシ撃ち込んでいた。

「はいっ!」

そうトレーナーが言うと。

ズドンっ!

ズドンっ!

「えええええ!?け、蹴るの?」

ミットに思い切りハイキックしていた。

そして凄い音と迫力。

勝手なイメージだがサンドバッグやミットはパンチだけで蹴るイメージがなかったので驚いた。

私は格闘技はほぼ知らない。

生はもちろんだがテレビでも見た事ない。

見たことあるとすればボクシングで顔を腫らした勝者がレフリーに右手を高々と上げられ喜んでる姿ぐらい。

勝ってるのに凄い痛そうだなと見る度に思ってた。

つまりそのレベルの素人だ。
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