Mazzo d'amore
「やってみてどう?楽しい?」

「やばいわこれ。筋肉ツーじゃなくて筋肉スリーになりそう」

「親父ギャグ出るって事はまだ余裕ありそうだね」

「いや、ないない。私はやるより見る方が得意かも。プロ野球も一緒で」

「誰だってプロ野球はやるより見る方が得意だわ!それより、キックエクササイズは全身運動で引き締まるからほら見て見て」

そう言ってお腹を捲し上げ締まったお腹を見せてきた。

確かにみゆは足は細いしお尻もヒップアップし綺麗な形をしている。

そんなお腹を捲し上げたみゆにスケベな男達の視線はより多く来てる気がする。

私もダイエットしてそれなりに落としたが、しぼったり鍛えあげたりはしてない。

つまり余分なのを落としただけ。

やっぱ美しいを継続させるにはもっと努力が必要なのかなぁと遠い目でみゆの体を見つめた。

「あ、見て見て、お兄ちゃんスパーリングするみたい」

みゆの言葉に視線をリングに向けると稜くんがスパーリング前にストレッチをしていた。

稜くんと戦う相手のお兄さんも稜くんと同じぐらいの背丈で顔もイケメンだった。

歳は私達と変わらないぐらいなのかなと少し若そうに見えた。

お兄さんは首をコキコキならし、稜くんは屈伸をして開始のブザーが鳴った。

「「お願いします」」

お互いグローブでタッチし、パンチやキックを打ち合った。

凄いし、早いし、凄い、強いし、なんなら凄い。

「え…何その語彙力」

「ね、自分でも思った。私、絶対実況解説出来ないわ。後、食レポも多分出来ない」

とにかく二人は激しく打ち合った。

3分という一見短そうに思えるが、先程3分、エクササイズと偽って打たされたパンチやキックをやった分その辛さはわかる。

二人は打ち合いながらも凄い楽しそうに笑顔でやっていた。

ピピピッ

「「ありがとうございました」」

そして多くの人達は二人のスパーリングに足を止めて見ていた。

「やっぱり凄いな」

「あの二人が戦ったらどっちかな?やっぱり年上と経験が上な分、稜かな?」

どうやらここのジムでも有望株で将来の活躍が期待されてるらしい。
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