Mazzo d'amore
カシスソーダ(あなたは魅力的)
高校2年生の3月。

「いらっしゃいませ」

フラワーショップTANAKA

駅裏に昔からあるお店だがリニューアルし綺麗な内装をしている。

現在入院中の祖母のお見舞いに花を買っていこうと訪れていた。

(どれが良いかなぁ…)

店内は沢山の花々から良い匂いが充満し余計に私を迷わせていた。

「あ、これ可愛いかも…」

目に付いたのは白を基調とした鉢植えタイプの花。

(寒色系だけどおばあちゃんはこういった色を好むイメージがあるから喜んでくれるかな)

レジに向かったが店員さんは居なく、私はコトッと置き声を出した。

「あの…これ…」

私の声に1人の店員さんが近づいてきた。

「すみません、お待たせしました。プレゼント用ですか?」

すっと近づいて来た男性の店員さんはスラッと背は高くキレイな顔立ちをしていた。

「……あの?お客様?」

「あああ、すみません、そうです」

思わずキレイな顔に見惚れてしまってた。

「お誕生日祝いですか?」

「祖母が入院してるのでそのお見舞い用として」

私は恥ずかしくて顔をうつむき話した。

「お見舞い用でしたらじゃあ、鉢植えはよくないので別のにしましょうか…」

「え!?」

「鉢花は根を下ろしていることを『根付く』と言います。『根付く』は『寝付く』という言葉を連想させてしまっていつまでも病気やけがが治らないって連想付けて縁起があまり良くないんですよ」

「あ、そうなんですね」

私はせっかく選んだのが良くないと言われ少し落ち込んだ。

「一緒に選びましょうか?」

「はい!お願いします」

私は優しいイケメンの年上店員さんと至福の時間を過ごした。
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