Mazzo d'amore
「母さんなんで?」

光太郎の問いかけにお母さんは紙袋からこれまで私が送った手紙や心春の写真などを出してきた。

「光太郎は知らないかもしれないけど、京香さんはずっと私の家のポストに投函しに来てくれてたのよ。結婚を許して欲しい、旦那を許して欲しいって。決して返事の手紙を私は出さないのに。それでも定期的に懲りもしないでずっと」

そう言った後、私に微笑んだ。

「はじめは絶対許すもんかと意地張ってたけど心春ちゃんが産まれてからも届く写真と手紙をいつしか楽しみにしてる私が居たの。もう心の中ではとっくに認めてたのに……嫌ねぇ、歳をとるとほんと頑固になって!」

「お母さんありがとうございますありがとうございます」

「ううん、こちらこそありがとう!光太郎にはもったいないぐらい良いお嫁さんさんだわ。いや、お婿さんを貰ってくれてありがとう。………遅くなって本当に本当にごめんなさい。どうかこんな私を許してください」

お母さんは涙を流しながら私と握手を交わした。

「心春ちゃん、入園式には行けなかったけど、お手紙ありがとう。『にゅうえんしききてね』ってお手紙凄い上手に書けてたよ、後お友達からのお手紙も凄く上手だった。これからもいっぱいお手紙書いてね」

そう涙を流しながら話すお母さんに心春は照れ笑いしていた。

旦那もずっと心の中では仲直りしたいと思っていた事を私は知っていたので旦那も泣きながら喜んでいた。

やっと、やっと元に戻れた。

私は明るい未来に安堵した。

旦那も元居た建築会社に戻り、私も手伝いとして働かせてもらった。
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