Mazzo d'amore
そして心春、7歳。

小学1年生になり、先生となった翼くんに再会した。

「あれ?京香?京香だよな!久しぶりだな!元気してたか!」

「お久しぶりです!ずっと会いたかった」

そう言って胸に飛び込み泣き出す私に翼は

「ちょ……旦那さん勘違いするじゃん…旦那さん…違うから安心してな」

そう言って翼先生も目に涙を浮かべ私を抱きしめてくれた。

心春が小学校に上がってからだいぶ心春に手がかからなくなったので週末の夜には知り合いのガールズバーで働き出した。

そして翼先生も同僚や友人達を連れて週末飲みに来てくれたりと楽しかった。

忙しくも充実した日々だった。

徐々に徐々にだが私の体を病いが蝕んでいた事に気づかないまま過ごしていた。

体調の変化はあったものの気のせいだろうと思い過ごしていた。

心春が小学5年生にあがり、疲れが取れない日々が続いた。

寝たら治ると思っていたがどうも体調がすぐれない日々が続くので一度病院に行ってみた。

一向に改善されなかった。

けれど、一度病院を訪れたら治したい願望が出て通うようになり、大きな病院を紹介された。

「……余命ですか?」

残り3年と告げられた。

聞いた瞬間、ショックだったが今までと違い泣かなかった。

(今から3年だったら心春が中学2年生の年か…)

私に残された時間は少ない。

娘に幼い頃の自分を照らし合わせた。

父、母、そして兄までも居なくなった自分。

私がいつ居なくなっても良いよう娘を独り立ち出来るよう育てよう。

厳しくても嫌われても良いから。

女は愛嬌だけで生きていけない。
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