Mazzo d'amore
この日は渡辺菜音くんから遊ぶ連絡が来て待ち合わせ場所に向かった。

待ち合わせ場所に行くと菜音くんはすでに居て、私の姿を見ると少し嬉しそうに右手を上げた。

「おす!」

「めす!」

「くだらねぇ!親父ギャグかっ!」

そうは言っても手を叩いて笑う菜音くんは相変わらずツボが浅いんだなと思った。

ちなみに遊びと行っても子供の頃、何度も一緒に遊んだ公園や遊歩道からの河川敷などを散歩してまわった。

「ほんとちっちゃい頃いっぱい遊んだね」

「シロツメクサや三つ葉のクローバーなんかもいっぱい取ったね」

「あの頃の菜音くん千と千尋に出てくる坊だったのに今はこんなスタイリッシュでイケメンになって私はびっくりだよ」

「心春ちゃんだって同じくよ」

バシッ!バシッ!

思い切り肩をグーで叩いた。

「母さんが居なくなってパン屋畳んで父さん生き甲斐無くしてて、ここは俺が父さんの生き甲斐になってやろうと思ってからかな。変われたのは……父さんには言えないけどそう言った意味では母さんに感謝してる」

「………そっか…強いんだね」

「心春ちゃんは?」

「ん?」

「……お、お母さん…居なくなったけど……慣れた?」
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