Mazzo d'amore
そして、その年の大晦日に二人の対戦が決まった。

格闘技ファンの間では二人が戦ったらどっちが勝つか論議され7:3で上島稜選手が勝つと予想されていた。

「こんにちは」

「心春ちゃん久しぶりね、元気してた?」

「はい、元気してました明菜さんは変わらず美しいですね」

「また嬉しい事を!」

この日は久しぶりにみゆの家に遊びにお邪魔していた。

みゆは高校卒業後は進学せず芸能界へと入りモデルの仕事をしている。

「相変わらず部屋可愛いわねー、しかも色あいが良いよね」

「一応、カラーコーディネーターの資格は持ってるからね。色同士が喧嘩したり相殺されないようには意識してるよ」

「へぇ!今度いつか私がお店出したらお店の内装見てよ!」

「うん、良いよ」

そんな会話をしてると玄関が開く音が聞こえた。

「ただいまー」

「おかえり」

「稜くんおかえりなさいっ」

「また人の兄を名前呼びしてっ」

「おお!心春ちゃん来てたんだね」

練習帰りなのか疲れた顔をしていた。

「ところで良いの?彼氏の対戦相手と会って?」

「え!?いやいや彼氏なんかじゃないですから」

「ふーん」

そう言うと稜くんは私だけを呼び出し自分の部屋に連れてきた。

初めて稜くんの部屋に入ったが黒のレザーを基調とした鮮麗な部屋でシンプルだったがカッコイイ部屋だった。

(吸い込め!呼吸困難になっても良いからここの空気を全部吸い込め!)

そんな風にしてると稜くんに言われた。

「菜音とは付き合ってないの?」

「え、……あ、はい」

「そっか……じゃあ、俺と付き合ってくれない?」

俺と付き合ってくれない?

俺と付き合ってくれない?

「うええええええええ!!!」

私は腰を抜かした。
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