風吹く土曜
シンが何気なく向かっていくと、数人の学生はシンの姿を確認すると、逃げるように離れていった。
中学1年とはいえ、すでに身長は170を超えていたシン。

金髪坊主姿は、見た目からすれば関わりたくない人種に見えていただろう。
金髪になって2ヶ月、そんな周囲の態度にも慣れていた。

今思えば、そんな姿も恥ずかしくなってしまう黒歴史には十分だ。
なぜ金髪にしたのかも、大きな理由は特にない。

ショウタと髪を染める話になって、ショウタは茶髪、シンはブリーチをかけただけ。
坊主にブリーチは、とても痛かった事だけは覚えている。

大人になった今、コンビニ前に金髪坊主でたむろっている中学生がいれば、きっと避けるだろう。
この当時、周りに怖がられていると少しだけ調子に乗っていた自分を殴りたいとさえ思う。

手に持ったタバコの箱を、握りつぶしてゴミ箱に投げ入れた。
涼しい店内に入って、シンはガリガリ君を買った。

コンビニの入り口に向かいながら、袋を開け、ガリガリ君を口に入れた。
手に持った空の袋を、ゴミ箱に入れた時だった。

「何その金髪?」

シンの背後から、女の子の声がした。
ガリガリ君を咥えたまま、シンが振り返ると、そこには一人の女の子が立っていた。
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