恋も推しごと〜私の推しがふってきました〜
第1章 推しに願いごと
「あぁぁぁぁー! もうレイヤくんカッコよすぎる! はぁ……いい声……」
普段はOLとして都内で働いている私――木野さとみには毎日の楽しみがあった。
それは、ソロの歌い手として大ヒット中の“レイヤ”の推し活をすること。
ただ歌を聴くだけの日もあれば、ライブ配信にひたすらかじりついたり、今日みたいに親友に向かって、レイヤくんの好きなところを一方的に語る時もある。
「どうしてこんな声が出るの? まさか、人間じゃない!? レイヤくんは神様……!!」
「さとみ……少しは落ち着け。レイヤは神様じゃない普通の人間だ」
「だって、由羽あんなに声がいいのにピアノもギターもダンスもできる、アーティストとして完璧な彼は神様では!?」
私の親友、浜崎 由羽(はまさき ゆう)はこの推し活を知っている数少ない理解者である。
由羽は歌い手には興味無いが、立派な腐女子でオタク仲間だ。
「私はレイヤより、このカップリングが好き」
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