恋も推しごと〜私の推しがふってきました〜
第3章 好きともどかしさ
「はぁぁ……最高だった……終わってしまった……余韻がすごい……」
怜也くんに貰ったチケットで、精一杯ライブを楽しんだ私は会場を出た広場の隅に座り込み動けないでいた。
だって――、だって――ステージの上の怜也くんがかっこよすぎたんだもん。
至近距離の特等席で満喫したライブは凄かった。どれほど叫んだかもはや覚えていない。
ペンライトをひたすら降って、掛け声を叫び、一緒に歌う。こんなに幸せな時間は二度と来ないのではないかと思う程だ。
そんな私は電車に乗って帰るのでもなく、こんなところに座っているのには訳があった。
「いい? 絶対に待っててね」
朝そう言って、一足先に会場に向かった怜也くん。
なんと、先に帰らずにライブ後は待っていてと言うのだ。
だからここで待っているのだけれど、ここは会場前……さすがにファンがまだ残っていて余韻に浸ったり、グッズ交換をしたりしている。
怜也くんはどこから出てくるのだろう?