恋も推しごと〜私の推しがふってきました〜



「わぁ〜、さとみさんから手を繋いでくれるなんて嬉しいなぁ」


「なっ! そんなつもりは……」



 そんなことを言っている場合ではないのに、のんびりとした空気が怜也くんの周りにだけ流れている。

私は勢いで行動しすぎたと、慌てて手を離そうとしたけれどその手が離れる前に怜也くんの手に捕まった。



「離しちゃダメ」



 そう言ってしっかり握られた手はビクともしない。はぅぅ……怜也くんの手が私に触れているっ!



「やばい……落ち着け私――、これは試練……」



 必死に自分にそう言い聞かせながら、いつの間にか前を歩いている怜也くんについて行った。


 ちなみにこの前のスキャンダル記事は、怜也くんからも事務所からも否定して、すでに落ち着いている。だから今日のライブも無事に開催できたのだ。



「ねぇさとみさん? 今日のライブどうだった?」



 あんなに大成功だったのに、少し心配そうに聞いてくる怜也くんが可愛すぎて仕方がない。

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