俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
第一章


ガラス張りの窓から外を覗くと、雲の隙間から太陽の光が一筋になっているのが見える。空気中には水蒸気がキラキラと舞い、絵になるような綺麗な朝。その光景をしばらく観察したところで、院内を颯爽と歩き始めた。

私、宮永彩(みやながさや)は、ここ日比谷総合病院で医局秘書をしている。中途で入社し、今年で2年目。だいたいのことは経験したし、業務にもすっかり慣れた。

仕事はやり甲斐があるし、お給料も良い。それに残業があまりなく、土日休みというところが生活スタイルに合っていて、満足している。

あの人の存在を除けば……。

「おはようございます」

戦場である医局へと足を踏み入れる。私の担当は日比谷総合病院の脳外科の医師たち。

十名ほどいる先生たちのスケジュール管理や学会の資料の準備など、秘書的業務に携わっている。

「加野先生、おはようございます。これ、頼まれていた資料です」

珍しく朝からデスクにいたここの重鎮、部長の加野先生に資料を手渡す。

「あぁ、ありがとう」

加野先生は眠そうに頭をかきながら、それを受けとると、再びパソコンに向かった。

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