俺様ドクターの溺愛包囲網
確かに前いた秘書の子は3ヶ月で寿退社した。その前の子も、さらにはその前の子もそうだったと聞いている。でも私は違うと神に誓って言るえ。結婚目的でここにいるんじゃない。
まだ二十五歳、結婚に夢みる年ごろだけれど、自分のことより守らなきゃいけないものがあるんだ。婚活目当ての女性達と一括にされたくない。
「あの、お言葉ですが……」
反論しようと詰め寄ったころで遮られた。
「包装紙をちまちまと畳んでたのも、倹約家アピールだろ?」
「なっ……」
あまりにも失礼な発言に、目を瞬かせる。失礼にもほどがある。倹約家であることに否定はしないけれど、それをアピール材料にした覚えはない。すっと息を吸い込むと、日比谷先生を下から見つめ、一気にまくし立てた。
「あなたが私のことをどう思おうと勝手です。腰掛けだと思うならそれでも結構。でも、人に迷惑をかけることだけはするなと、幼い頃から両親に言われて育ったので、どんな仕事も全力で取り組んでいるつもりです。途中で投げ出すような無責任なことをするつもりはありません!」
そこまで言い切ってハッとする。い、言ってしまった……!