俺様ドクターの溺愛包囲網
ハッとして顔を上げれば、日比谷先生と、看護師さん数人、そしてストレッチャーに乗せられた真宙らしき人が出てきた。
「真宙!?」
一心不乱に近づき、声をかける。だが対面した真宙は意識がなく、真っ青な顔で眠っていた。その姿に足元から凍り付いていく。
「宮永、今から緊急オペをする」
「お、オペ……ですか?」
「頭蓋骨を骨折して、中に血腫がたまってる」
そのフレーズに、頭が真っ白になった。頭を骨折って……。
「心配するな。俺が絶対助ける」
涙でぐしゃぐしゃになった私を見て、先生が力強く言う。その眼差しを見て、ホッと力が抜けるのを感じた。
今まで不安で押しつぶされそうだったのに、あっという間に取っ払ってくれる。きっと強い意志を孕んだ瞳が、私をそうさせたんだ。今の彼は、私がよく知っている医師の顔。先生を信じよう。ううん、先生ならきっと真宙を助けてくれる。
「よろしくお願いします」
声を震わせながら告げると、先生は小さく頷いてオペ室へと消えていった。