俺様ドクターの溺愛包囲網
オペ室から病棟に移された真宙は、たくさんの点滴につながれ、酸素マスクをつけていたものの、顔はただ眠っているだけのように綺麗だった。
「真宙? 聞こえる? お姉ちゃんだよ」
さっきからずっと声をかけ続けるが、返事はない。真宙に何があったんだろう。自転車に乗って、何をしてたの? 眠る真宙の前であらゆる可能性を想像する。
するとそこに、病室のドアが開く音がした。振り返ると、白衣に着替えた先生が入ってくるところだった。そして真宙の顔を覗き込み、モニターを確認していた。
「脳圧も安定してるし、そのうち意識も戻るだろう」
「真宙にいったい何があったんでしょうか」
「さっき警察が来ていたから、何か事情がわかるかもしれない」
警察……。悪いことをしてたんじゃなければいいけど。やっぱり親がいないから、それを不満に思って、非行に……? 私だけじゃ力及ばなかったのかな。
真面目な真宙からは想像できないけど、もしかすると、知らず知らずのうちに色々と我慢をさせてしまっていたのかもしれない。
「高校生にもなれば、家族に知られたくないことの一つや二つあるだろ」
「でも、今までなんでも話してくれてました」
好きな子の話だってしてくれてたじゃない。それなのに、私にも内緒にしていた事情って何?
「ほら、いつまでもメソメソするな」