俺様ドクターの溺愛包囲網
ハラハラと流れだした涙を拭っていると、先生が隣のパイプ椅子にどかっと腰を下ろした。
「俺がついているから、お前は少し休め」
「いえ、大丈夫です」
「お前が倒れたら元も子もない。だいたい、お前の大丈夫は信用ならないって、言っただろ?」
真宙の横顔見据えたまま、先生が呆れたように吐き出す。そういえば前にそんなこと言ってたっけ。確かに、今まで大丈夫、大丈夫って、自分に言い聞かせてきた部分はある。でも最近では、先生に支えられているような気がしてる……。
「じゃあ少しだけ横になります。何かあったらすぐに声かけてください」
用意してもらっていた簡易ベッドに横になった。どうか真宙が目を覚ましますように。心の中で乞うように呟くと、そっと目を閉じた。
どのくらい眠っただろうか。先生に「宮永」と揺さぶられ目が覚めた。
「意識が戻りそうだ。今少し指が動いた」
その言葉にハッとして飛び起き、真宙のもとにかけより声をかける。
「真宙! 聞こえる! 姉ちゃんだよ」
お願い、目を覚まして。
「真宙、聞こえてるか?」
先生が呼びかけると、瞼がわずかにぴくっと動くのがわかった。