俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~


こういうところ、先生らしい。

「病棟に戻って点滴のオーダーしてくる」

そう告げると、先生は病室を出て行った。私は深々と頭を下げると、ぼんやりと天井を眺める真宙のそばに寄り添った。

「すごく心配したんだよ」
「ごめん……」

何があったのかは、また今度聞こう。真宙がこうやって命を繋いでくれただけで感謝しなくては――。


◇◇◇

そう思っていた数日後。

「ウーバーイーツー!?」

言いなれない言葉を並べながら、座れるまでに回復した真宙の前で、仁王立ちで睨む。

「いや、だからその……」
「だいたいなにそれ!?」
「食事を運ぶバイトだよ。姉ちゃん知らないの?」
「知らない! だいたい受験生のくせに、バイトって、何考えてるの!? 信じられない! 人の気も知らないで!」

怒り任せに、まくしたてる。どうやら真宙は自転車で、ウーバーイーツというバイトをしていたらしい。下り坂を猛スピードで下りていたところを、猫が飛び出してきて、それを避けようとして、派手に転んだのだとか。


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