俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~


勝手にバイトして、事故にあって、真宙には不自由させまいと必死に働いていた私の苦労は何だったのか。事故の相手がいなかったからいいものを。怒るまいと思っていたけど、無理。前言撤回だ。

「いつどこで、何をどうして、そうなったの! 順を追って話して」
「ちょ、落ち着いて、姉ちゃん」
「落ち着けるわけないでしょ」

オロオロする真宙にプイッと背を向ける。真宙にはきっと姉心は分からない。人の目を盗んでコソコソバイトして、そんなにほしいものがあったの? 

私にほしいっていえなかったの? 言わせない環境にしていた私が悪いの……?怒りを通り越したら、悲しくなってきた。

「その辺にしといてやれよ、宮永」

必死に弁解する真宙の声を背中で聞いていると、苦笑いを浮かべる日比谷先生が入ってきた。

「回復したとはいえ、真宙はまだ病人だぞ。そんな上からきゃんきゃん吠えるな」
「だって、先生……」
「まぁ、お前の気持ちがわからんでもないが」

珍しく先生が私に賛同してくれた! と嬉しなったのも束の間、先生は真宙に向けて言ったことに気が付く。真宙の肩をポンと叩き、まるで同士かのように見つめ合っているのだ。


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