俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
いやいや、どうして真宙の味方? 一緒に怒ってくださいよ!
「バイトくらいなんだ。普通だろ」
「でもこんな大事な時期に」
「真宙にも事情があるんだろ」
諭すように言うと、先生は再び真宙に目を落とした。真宙はぎゅっとシーツの上で拳を握り、俯いている。
「どんな理由があったってバイトはもう禁止。ほしいものがあるんだったら言って? 私がなんとか……」
「そういうのが嫌なんだ……」
「え?」
真宙の蚊の鳴くような声に、目をしばたたかせる。
「そういうのって、何がダメなの?」
聞けば少しの間の後、真宙が言いづらそうに切り出した。
「俺だって姉ちゃんの手助けをしたい。一人で頑張らないでほしい」
「でも、真宙は受験生なんだし……!」
「姉ちゃんを少しでも楽させてやりたかったんだ……!」
いつも温厚な真宙が大きな声を出すのにも驚いたが、まさかそんな気持ちが隠されていたことにもビックリした。胸の奥が、じわじわと熱くなる。
「ありがとう真宙。でも、気持ちだけで充分。私がもっと頑張るから、真宙は受験に集中して」
「姉ちゃんは全然分かってない……!」