俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
「わかってるよ! 真宙に色々心配させちゃった私が悪いの! だからこれからは……」
「なんでだよ……なんで一人で頑張ろうとするんだよ。家族だろ?」
真宙の声に涙が滲んでいることに気が付いた。私は間違っている? 真宙を幸せにしたいと思う気持ちは、彼にとって重たいの?
「宮永」
それまで黙って姉弟喧嘩を聞いていた先生が、仲裁に入った。
「守られてやれよ」
「え?」
「守られてばかりじゃ辛い時もある」
先生……?
「真宙。姉ちゃんちょっと借りていくな」
「え? あ、どうぞ」
「ちょっと来い、宮永」
先生は戸惑う私の手を強引に引くと、強引に病室から連れ出した。
連れてこられた場所は病院の中庭だった。ここは小さな噴水やベンチがあって、入院患者さんたちが散歩などを楽しんでいる。綺麗に剪定された木々に季節の花も咲いていて、院内で唯一ホッとできる空間だと言われている。
「あの、さっきのどういうことですか?」
缶コーヒーを差し出す先生を見上げ、たどたどしく問う。先生はプルタブを開けながら、私の隣に腰掛けた。