俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~


「あいつだって半分大人だ。大切な家族のために自分も何かしたいと思うのは当然じゃないか?」
「気持ちは嬉しいですけど」
「自分のために頑張っているやつをただ指くわえて見ているのは、辛いものがあるぞ」

先生の言葉にハッとして隣を見れば、複雑な顔をする先生がいた。もしかして自分と重ねているのだろうか。 お母さんのために何もできなかった自分を、先生は今も責めているのだろうか。
だからさっき「守られてやれ」って……。

「真宙だってお前が無理している姿を見たくないんだよ。あいつの気持ち、認めてやれよ」

確かに先生の言う通りかもしれない。自分の気持ちを押し付けて、真宙の言葉をきちんと聞かなかった部分は少なからずある。

それに私は自他ともに認める頑固者だ。言っても聞いてもらえないと思ったのだろう。
先生の言葉で、自分の愚かさに気づいた。

「そうですね。反省します」

先生の前だけでは素直になれるから不思議だ。それに最近はつい甘えてしまっている。

「珍しく素直だな」

私の返事がよほど意外だったのか、小さく笑っている。

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