俺様ドクターの溺愛包囲網


「それは早く時間を作れってことか?」
「えっ、あぁ……はい」

うぅ、なんか恥ずかしい。すぐ意地悪な質問をするんだから。しかも先生はクスクスと笑っている。
からかったな……!

その時ふと、こっちに向かって歩いてくる人影が見えた。見れば要先生で、要先生も並ぶ私たちに気が付くと、笑顔で手を挙げた。

「お疲れ様。二人お揃いでどうしたの」
「お疲れ様です。実は私の弟が今朝までここでお世話になっていまして。その見送りの帰りです」
「なんだ、そういうことか。二人がなんだか楽しそうな雰囲気だったから、もしかしてなんかあったのかなーって心配になっちゃった」

要先生、鋭い。というか、私要先生に――。浮かれている場合じゃなかった。

「そういえばこの前のクルージングのチケット、結局行けなくて人にあげちゃった」
「すみません、せっかく誘っていただいたのに」
「宮永さんが謝ることじゃないよ。横から茶々入れてきた颯士が悪いんだから」

言いながら要先生が日比谷先生を見る。その絡み合う視線はとてもじゃないけど居心地が良いとはいえず、私はその視線の下で私はただただ小さくなるばかり。


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