俺様ドクターの溺愛包囲網


「要、宮永を誘うのはもう金輪際やめろ」
「どうして?」
「こいつは、俺のだから」

そんな勝手に! しかもこんなところでさらっと……。

「二人付き合い始めたの? わぁ、ちょっとショックだなー」

あれ? 要先生の軽いリアクションに、逆に困惑してしまう。 怒りだすかと思っていたのに……。

「宮永さん、本当に颯士でいいの?」
「えと、は、はい……。あの、要先生、すみません。私……その、きちんとお返事もできないままで」
「いいのいいの。颯士が強引に迫ったのが目に見えるから」
「あ……いやぁ」

あながち間違いではないけど。いきなりキスから始まったわけだし。

「で、颯士、あの人にはもう言ったの?」
「いや、まだ。要、余計なこと言うなよ」
「さぁーどうしようかなー」

日比谷先生は真剣な顔で言っているのに、要先生は頭の後ろで手を組んで、ニコニコしている。どうしてこんなに嬉しそうなんだろう。まるで新しいおもちゃでも見つけたような、嬉々した雰囲気。それにあの人って誰だろう……?

「あ、いけない。お客さん待たせてたんだ。じゃあね、俺行くね。宮永さん、また」
「あ、はい」


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