俺様ドクターの溺愛包囲網
「経営陣が集まる会食よ。どうして呼ばれているかわかるわよね?」
淡々とした口調にごくりと喉がなった。要先生から私と日比谷先生が付き合っていることを聞いて知ってるんだ。だけどこの感じ。よく思っていないと察する。
彼女が私を排除しようとしているのが目に見える。その会食に私を呼び、日比谷家にふさわしくないと、思い知らせようって魂胆?
「今度ゆっくりお話ししましょう。楽しみにしてるわ」
頷く以外、選択肢が見当たらなかった私は、小さく「はい」と返事をした。それを見て、女性は綺麗に微笑むと、男性を引き連れ行ってしまった。
どうしよう。勢いで頷いちゃったけど、怖い。もし交際を反対されたら? まだ何も始まっていないのに、終わってしまうの?
要先生もあっさりバラしちゃったくらいだ。きっと小さな反撃のつもりだろう。味方はいない。そう直感した。
「彩」
ふいに名前を呼ばれ振り返れば、意味ありげに微笑む美和が立っていた。
「院長婦人、綺麗だったでしょ」
「やっぱり」
日比谷先生のお母さんだったんだ。