俺様ドクターの溺愛包囲網
中学生男子にはお母さんの愛情は少しくすぐったいかもしれない。でもそれが聞けて嬉しくなる。
だって先生は、家族に愛されていたんだから。ホッと胸をなでおろしていると、またもや意外な事実が耳に届いた。
「本当の母親と、あの人は友達だったらしい」
「え? 友達?」
「小中高とずっと一緒だったと、小さい頃、よく聞かされてた」
あ、だから聡子って……?
「親友だった二人が、親父をめぐって壮絶なバトルを繰り広げたとか」
「そうだったんですね」
お義父さんもパワフルな人だが、女同士の争いもまたパワフルだ。しかも友達だったのに。けれど、いろんなパズルのピースが集まって見えてきた。
お義母さんが先生を受け入れた理由も、溺愛する理由も。きっと聡子さんはお義母さんにとって、すごく大切な友達だったのだろう。だから繋がれたバトンを大切に守ってきた。二人の気持ちを想像すると、鼻の奥がツンとなった。先生がこんなに立派な人になったこと、聡子さんは天国で喜んでいるだろうな。
「先生が幸せだったみたいでよかったです」
「今度は、お前が幸せにしてくれるんだろ?」
「え?」
「自分で言ったこと忘れたのか?」