俺様ドクターの溺愛包囲網
先生の言葉に、オロオロとしながら隣を見ると、ハンドルにもたれたまま、先生が意地悪な視線を向けていた。その姿がやけに絵になっていて、ごくっと喉が鳴る。
「も、もちろん。お任せください」
「頼もしいな」
言いながらふっと、わずかに口の端を上げ笑う。その顔が綺麗でますます心臓が早くなる。
そういえばこの後二人で過ごそうって言っていたっけ。これは間違いなく、大人の男女のフラグ。
私、今から先生と……。
「お前、今変な想像してるだろ」
「し、してません!」
「ニヤついてるぞ」
「なっ……!」
その通りなだけに反論する言葉が見つからない。そもそもそんな質問する? ほんと、意地悪!
「残念だが、俺はお前が想像しているようなことを所望してる」
「えっ……?」
「散々焦らされたんだ。嫌だって言ってももう逃がさないからな」
それはつまり……。
「ベルトしたか? 行くぞ」
一人テンパる私を置いて、先生は車を豪快に発進させた。どうしよう! 心の準備が――!
◇◇◇
着いた場所は、いたって普通のマンションだった。先生は車を慣れた様子で駐車すると、エントランスの中へ私を誘導する。