俺様ドクターの溺愛包囲網
「せんせ? 聞いてま……ひゃっ」
先生の手がスッと伸びてきたかと思うと、私の髪に指を差し込んできた。あ、なんだ。髪か。キスされるかと思った。過剰に反応した自分が恥ずかしい。
「この手触りがいい。染めたりパーマなんてするなよ」
「先生が、そういうなら一生ストレートでいます」
「珍しく従順だな」
言いながら、今度はそっと抱き寄せてきた。この身長差だ。先生の胸元にしか及ばない私はまるで捕らえられた子供のような絵面になっていそう。
けれどそんなことすぐにどうでもよくなった。先生のぬくもりに抱かれていると、ホッと心が安らぎ、気がつくとなぜかじわりと目の奥が熱くなっていた。
私今、すごく幸せだ。誰かを好きになるって、こんなに素敵な気持ちになるんだ。今まで感じたことのない幸福感で胸がいっぱいになる。
「おいで」
先生が耳元で囁くと、視界が変わった。先生は私を引き寄せながら、近くにあったソファに、腰を下ろしたのだ。しかも先生の膝に乗せられた状態で対面だと気が付き、かぁっと全身熱くなる。そんな私を先生が満足げに見ている。
「あの……私」