俺様ドクターの溺愛包囲網


ぎゅうっと大事そうに私を抱きしめると、先生は額の汗を滴らせながら、私の中で動きを速める。

やっと一つになれましたね。初めはあんなに大嫌いだったのに、今じゃこんなに好きになって。初めてまで捧げてしまった。ううんあなたが初めての相手でよかった。

誰がこんなこと、想像したでしょうね?

「彩、愛してる」
「はい、私も……」

人は幸せな気持ちで満たされると泣きそうになるんだ。それもまた先生に出会う前までは知らなかった感情。

そして、誰かを幸せにしたいと思ったのも、あなたが初めて。先生、私と一緒に溶け合いましょう――

◇◇◇

翌朝。

目が覚めると、私は先生の腕の中にいた。身動きができないくらいにきつく抱きしめられていて、思わず至福の笑みがこぼれる。

私達、ついに結ばれたんだ。まだ少し体に違和感があるけど、これも幸せの痛み。

昨夜の先生はすごく優しかった。何度も好きだって言ってくれて、とろけてしまいそうだった。

……って、私、なに回想してるんだろう。

恥ずかしくなって、誰も見ていないのに思わず両手で顔を覆う。そんな私とは裏腹に、先生は無防備な顔でスヤスヤと寝息を立てている。


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