俺様ドクターの溺愛包囲網


なんだか可愛い。せっかくだから先生が眠っている間に朝ご飯を作ろう。これからは嫌ってくらい茶色いごはんを食べさせるんだから。

そう意気込むと、先生の腕の中からそっと抜け出し、ベッドをおりた。と、ベッド脇に置かれたスマホに、真宙からラインがきていることに気が付いた。

『俺のことは気にせずごゆっくり』

と、ハートだらけの意味深なスタンプ付きで。昨夜、今日は帰らないと一応真宙に報告していた。理由は言っていないが、きっと全部悟られてしまったんだろうと思うと、恥ずかしくなる。実の弟に恋愛事情を見透かされているなんて……。

帰ったら冷やかされそうだなぁ、なんて考えながらキッチンに向かう。パッと見た感じ、普段全然使っていないことがわかる。冷蔵庫の中も空っぽに近い。この材料で何ができる? お米は一応あるみたいだけど。

「ひゃっ!!」

冷蔵庫の前で頭を抱えていると、突如大きな温もりが私を包んだ。振り返れば、先生が後ろから抱きしめていたのだ。

「せ、先生、起きたんですね」
「誰が俺の傍から離れていいといった」

< 144 / 174 >

この作品をシェア

pagetop