俺様ドクターの溺愛包囲網
嫌ってほど!? あんな生々しい行為を?昨夜のことが再び蘇り、取り残された私は、体を火照らせながらその場にうずくまった。
◇◇◇
あんまり動くなという先生の過保護な命令で、結局朝食は作れず、コンビニでコーヒーと軽い軽食を買い、そのまま病院へ。
先生の助手席に座って出勤だなんて不思議な気分だったものの、すぐにその感情は嬉しさに変わり、胸を弾ませたまま職員駐車場に着いた。
「今日は予定はどうなってる」
「午前中に回診、そのあと来週オペの患者さんのご家族との面会が入っています」
「そうか」
「あと、S製薬のMRの方が、先生とどうしてもお話がしたいとのことでしたので、十七時に面会の予定を入れさせていただきました」
今日の予定を淡々と伝える。この空気を吸うと、いやでも仕事モードに切り替わってしまう。もっと甘い空気のままでいたかったけど、そうはいかないらしい。
「わかった。じゃあ俺は病棟のほうからいくから」
「はい」
「またな」
先生はわずかに微笑み私の髪をくしゃっと頭を撫でると、急ぎ足で病棟へ行ってしまった。そんな先生に小さく手を振る。後姿すらかっこいい。背が高くてがっちりしていて。