俺様ドクターの溺愛包囲網
それに案外筋肉質だった。惚れ惚れするくらい筋肉がしっかりついていて、まさに男といった感じだった。思い出すだけでキュンとしてしまう。今度はいつゆっくり一緒にすごせるだろうか。今離れたばかりなのに、もう会いたい。私、重症かも。
「おはよ、宮永さん」
先生の姿が見えなくなるまで見送れば、それと入れ替わるようにして届いた声。振り返れば高級そうなスポーツカーから顔を出す要先生が、満面の笑みで手を振っていたのだ。
「お、おはようございます」
慌てて頭を下げれば、要先生は車を止め、颯爽とこっちに向かってきた。そしてニヤニヤと私を見る。
「見ちゃった。一緒に出勤とはねぇ」
冷やかす要先生にどう答えていいかわからず、赤面したまま俯く。きっといろんな想像を張り巡らせているのだろう。そう思うと顔が上げられない。
「それはそうと、昨日はありがとうね。宮永さん」
「い、いえ」
「俺はあのあと、母さんの愚痴に付き合わされて散々だったよ。俺も癒してくれる彼女ほしいな~」
なんて返していいかわからず、困り果てた私は笑って誤魔化した。あのあとそんなことが。だけどなんとなく想像がついてしまう。