俺様ドクターの溺愛包囲網
「ちょっと彩! 日比谷jrと一緒にご出勤ってどういうことー?」
そこにまた興味津々と言わんばかりの声が届いた。先生をjr呼ばわりするのは、一人しかいない。美和だ。見れば今日も派手な服装に身を包んだ美和が、楽しげに近づいてくるところだった。
「なになに? 朝帰り?」
「ちょ、美和、声大きいから」
シーっと慌てて指を立てるも、美和は「どうだった?」と、ずかずかと踏み込んでくる。その声に、出勤中の社員がちらちらと振り返っていた。
「彩もついに大人になっちゃったかー」
「こら、美和!」
「お昼ゆっくり聞かせてよね」
もう、全然響かないんだから。目は楽しげにらんらんとしているし。そういう美和は最近婚活を始めたとついこの前言っていた。
いつもちょっと癖の強い男性ばかりに惚れてしまう傾向がある彼女だけど、今回は真剣なよう。そんな会話をしながら院内へ向かっていると、要先生が美和のことを凝視していることに気がついた。そして私に、「彼女、誰?」とこそっと耳打ちしてきたのだ。
「彼女は脳外科外来のナースで、都築美和です」
「はつらつとしていて、素敵な人だ」