俺様ドクターの溺愛包囲網


うっとりとした顔で美和を見つめながら言うものだから、変な声が上がりそうになった。要先生、この一瞬で惚れちゃったのだろうか? もしかして、惚れやすい体質?しかも行動派の要先生は、なんの躊躇もなく、嬉々した様子で美和に声をかける。

「都築さん、よかったら今度食事でも?」
「え? 私? それって先生のおごりですか?」
「もちろん」
「じゃあ私、フレンチがいいです!」

相変らずの調子の美和を、嬉しそうに見つめる要先生。二人のやり取りに、思わずクスクスと笑ってしまった。美和と要先生、案外お似合いなのかも。さっぱりとした姉御肌の美和に、優しくて温厚な要先生。うん、悪くない。そんな勝手な想像をしていると、心が温かくなるのを感じた。

◇◇◇

その日の午後。

脳外の病棟へ行くと、日比谷先生とばったり遭遇した。いつもの光景なのに、ただそれだけでドキッと胸が弾む。先生も私に気が付くと、わずかだが微笑んでくれた。嬉しいな。白衣姿がいつもより神々しく見える。あの大きな胸に飛び込みたくなってしまう。

「お、お疲れ様です」

胸の高鳴りを抑えながら、声をかける。


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