俺様ドクターの溺愛包囲網
「そっか。それが聞けて安心したよ」
「私が先生を幸せにします」
「ありがとう、宮永さん。もう思い残すことはないよ」
「院長……」
どうしよう、泣きそう。こうやって認めてくれたのに。こんな風に会話することができなくなるの?
「どれ、もっと近くにきなさい」
「え? あ、はい」
目頭を拭いながら、言われるがまま近づく。すると、下腹部に違和感を覚えた。
「若いっていいねー、ここもピッチピチ」
「え! なっ、キャーーッ!」
おしりを撫でられる感覚がして、思わずその場に飛び上がる。嘘、もしかして、触った!? あわあわしながら院長を見るとどこか満足げに笑っている。
「おい、くそ親父。なにをした」
そこにすかさず日比谷先生が割って入った。そして鋭い眼力でと院長を睨む。
「ちょっと触り心地を確かめただけだろー」
「ふざけるな。その点滴に麻酔を打ち込んで二度と目が覚めなくしてやるぞ」
先生の地鳴りのような声が、病室に響く。めちゃくちゃ怒ってる!
「そんなに怒るなよ」
「次やったら、火葬場送りにするからな」
こ、怖い……。私に向けられているわけじゃないのに、身震いしてしまう。