俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
「お前はいつも一人で頑張りすぎだからな。たまには自分に褒美をやれ」
「先生……」
「俺が甘え方を教えてやるよ」
そう言えば、宮永は笑みを浮かべながら頷いていた。
◇◇◇
真っ赤な夕日が海に浮かんでいる。この時期のクルージングは風が気持ちがよく、雰囲気もよかった。宮永も最初は乗り気じゃなかったのに、今では目をキラキラと輝かせている。
「素敵ですね~」
「いこうか」
「はい」
彼女の手を取り、中へと足を踏み入れる。
「なんか、プリンセスになった気分です」
「プリンセス、ねぇ」
「今、バカにしましたね」
「いや、俺のプリンセスに間違いないよ」
そう言えば、かぁっと頬を赤らめる。あまりの動揺っぷりに、こっちまで伝染しそうになる。
「日比谷さま。お待ちしておりました。ご案内いたします」
用意されていた席に案内されると、光がまどろむ海辺の夜景を眺めた。宮永は何をするにもいちいち感激していて、その顔を見ると来てよかったと改めて思った。ちびちびと少量で出てくる料理は好まないが、宮永はどれも美味しそうに食べていた。