俺様ドクターの溺愛包囲網


アルコールも得意なほうではないはずなのに、ワインを何度も注いでもらっていた。

「はぁ、お腹いっぱい」

メインディッシュを食べ終え、宮永がお腹を押さえながら言った。

「まだデザートがあるみたいだぞ」
「それは別腹なので大丈夫です」

クスッと無邪気に笑って、口元をナプキンで拭う。その瞳はわずかに揺れていて、少し酔っているように見えた。頬も心なしか紅潮していて、こんな宮永は今まで見たことないかもしれない。

「先生とこんなところに来られるなんて、なんだか夢みたいです。美味しいお料理に、素敵な風景に洋服。現実じゃないみたい」
「お気に召してもらえたようでよかった。あ、ほらきたぞ」

そう言えば、運ばれてきたデザートを前に、顔を思う存分ほころばせていた。

「わぁ、おいしそう」
「俺のも食べていいよ」
「え? いいんですか? わぁーい」

子どもみたいな笑顔で彩鮮やかなフルーツに手を伸ばしていた。ここまで喜ぶとは思ってもいなかった。俺は俯き加減になった長いまつげが揺れるのを、始終満足げに見つめていた。

料理を堪能するとデッキに誘った。

「はい、いいですね」
「じゃあ行こう」


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