俺様ドクターの溺愛包囲網
最近病院で、日比谷先生が変わったと言われているのは知っている。気恥ずかしいが、幸せオーラは隠しようがない。
「ちょっと、俺の前でいちゃいちゃしないでよねー。あー俺も早く彼女ほしい」
「早く紹介しろよ、真宙」
「これでも努力してます。じゃあいってくるー!」
真宙は彩のお腹に優しい視線をよこした後、元気に出て行った。家族が増えるというものはこんなにも愛しいものなんだと、最近つくづく痛感する。今まで知らなかった未知の感情が日に日に増えていく。それもこれも、彩と真宙が俺を受け入れ、愛情を向けてくれるからだろう。
「じゃあ行ってくる」
「いってらっしゃい」
笑顔で見送ってくれる彩の頬にそっとキスを落とすと家を後にした。これからは医師と夫として、そして父として、もらった愛情を返していきたい。そして全力で愛していきたい。
新たな覚悟が芽生えるのを感じながら、いまだ手を振る彩に俺は大きく振り返した――。
END