俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
「返さなくてもいいから」
「え? そんな、ダメですよ」
「早く受け取れ。誰かに見られたら誤解されるだろ」
「こんな大金受け取れません!」
何考えているの? だいたい先生にこんなことしてもらう筋合いは……。
「あー、もう。いいから大人しく受け取れ」
先生は焦れたように私のジャケットのポケットに無理やりそれを押し込むと、スタスタと歩き始めた。
「ちょ、待ってください! 日比谷先生!」
慌ててその背中を追いかける。
「受け取れません! それにいつ返せるか……」
必死に言えば先生はピタッと足を止めた。突然目の前に現れた大きな背中にぶつかりそうになり、思い切りのけ反る。
そんな私を知ってか知らずか、先生は振り返ると私を遥かに高いところから見下ろし、思いもよらないことを言いだした。
「そんなに気が咎めるならこうしよう」
「……え?」