俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
第二章


「姉ちゃん、あの人だれ?」
「シッ、いいから黙って座ってて」
「やだよ。知らない人と顔を突き合わせるなんて。だいたいあの人、怖いよ。無口だし、愛想ないし。いったいうちに何しに来たの?」

台所で料理を作る私にべったりとくっつき、真宙が愚痴をこぼす。無理もないと思う。突然姉が出て行ったと思ったら、今度は知らない男の人、しかも超不愛想な男性を連れて帰ってきて、彼の相手をしててなんて言われても、高校生の男子には無理があると思う。

でも一応来客だし、放っておくこともできない。そう思い、真宙にお願いしていたけれど、とうとう根を上げてこっちへやってきたというわけだ。

「全然話が続かないし、超気まずいよ」
「じゃあ、そこのゆで卵剥いてくれる?」
「了解!」

張り切った様子で卵を剥き始める。普段料理は手伝わないのに、よほど日比谷先生の相手が懲りたのだろう。

それより、どうして五万円借りた見返りが「飯を食わせろ」なんだ。

あの時、どんな条件を出されるかとヒヤヒヤしていたら、想像もしない交換条件をだされ、思わず「は?」と、変な声を上げてしまった。

「金は返さなくていい。その代わり、飯を食わせろ」

日比谷先生がそんなことを言いだすなんて、誰が想像したか。だいたい私の料理なんて質素だし、たいしておいしくもないのに……。いったい何を企んでいるのか、全く読めない。食べたらさっさと帰ってもらおう。

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