俺様ドクターの溺愛包囲網


真宙も恐れているし、それにうちに出入りしているところを誰かに見られたりなんかしたら、よからぬ噂の的だ。それだけは避けたい。

「おまたせしました」

リビングで待つ先生の前に作った料理を並べる。先生みたいな大柄な人がこんな小さなこたつに座っていると、まるでガリバーのようで違和感しかない。

それに普段、難しいオペや学会をこなしている先生が、こんな庶民的な家にいること自体、滑稽すぎる。先生を知っている人が見たら、卒倒するレベルだろう。

「うまそうだな」
「ありあわせですよ。これはフキを炊いたやつで、こっちがポテサラです。これが厚揚げのステーキ。あと今、唐揚げを揚げているので少し待ってください」

我が家にしては豪華。二日分の食費を先生にあててしまったが致し方ない。というより、五万とこのおかずでは、まったく対等になりえない。本当にこれがお礼でいいのか……。

「どうぞ、先に食べててください」
「いただきます」

素直に従う先生をチラッと見ると、きちんと手を合わせていて、その姿が綺麗で思わず見入ってしまう。

「ん、うまい」

端的に感想を述べると、先生はガツガツと流し込み始めた。

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