俺様ドクターの溺愛包囲網

私は苦労だなんて、全然思っていないよ。

「勉強なんて、センスだ。机にかじりついて、何時間もやればいいってもんじゃない」
「そのセンスを身に着けるためにはどうしたらいいんですか」
「センスのいいやつから盗めばいい」
「なるほど! さすが先生」

いつの間にか私も、二人のやり取りを聞き入っていた。先生の話は、どれもすごくためになるし、真宙も興味深々。

でも残念ながら、うちには家庭教師を雇うお金も、塾に行かせるお金もない。誰かから勉強のセンスを盗むなんて、無理だ。きっと真宙もそれを悟っている。すると、先生が意外なことを口にした。

「俺がたまにみてやろうか、勉強」
「え! 本当ですか!?」
「たまにしか来られないだろうけどな」
「いいんですか? じゃあそのときは、是非今日みたいにご飯食べて行ってください!」
「いいな、それ」

ちょっと待った。どうしてそんな展開に? てっきり今日だけだと思っていたのに。

「あの、勝手に決めないでください」

これ以上黙って聞いていられず、割って入る。


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